個人店のビジネスモデルキャンバスの作り方|9つの項目を美容室の例で解説
個人店のビジネスモデルキャンバスの作り方
9つの項目を美容室の例で解説
nstagramをもっと更新した方がいいのか。
値上げをするべきか。
新しいメニューを作った方がいいのか。
お店を続けていると、やった方がよさそうなことは次々に出てきます。
でも、一つひとつ考えていると、
「結局、今の自分の店では何を優先すればいいんだろう」
と分からなくなることがあります。
そんなとき、一度お店全体を整理するために使えるのが「ビジネスモデルキャンバス」です。
この記事では、1〜5人程度で運営する個人店を想定して、ビジネスモデルキャンバスの9つの項目と書き方を紹介します。
例として「スタッフ2人の地域密着型美容室」を使います。
紙とペンを用意して、自分のお店に置き換えながら考えてみてください。
ビジネスモデルキャンバスとは?
ビジネスモデルキャンバスは、事業の仕組みを9つの項目に分け、1枚の図で整理するためのフレームワークです。

9つの項目は、
顧客セグメント
価値提案
チャネル
顧客との関係
収益の流れ
リソース
主要活動
パートナー
コスト構造
です。
名前だけを見ると少し難しそうですが、個人店で使う場合は、もっと簡単に考えて構いません。
「誰に来てほしいのか」
「その人に何を提供しているのか」
「どうやって店を知ってもらうのか」
「その価値を提供するために何が必要なのか」
「どこから売上が入り、何にお金がかかっているのか」
これらを紙1枚に並べてみるもの、と考えてください。
個人店こそビジネスモデルキャンバスが役立つ3つの理由
1.施策をバラバラに考えなくて済む
Instagram、ホームページ、値上げ、新メニュー。
一見すると別々の話ですが、すべて同じお店の中でつながっています。
お店全体が見えていれば、
「これは、うちのお客様に提供したい価値につながっているか?」
という基準で考えやすくなります。
2.考えられていない部分が分かる
ビジネスモデルキャンバスを書いていると,すぐ書ける所と、なかなか書けない所が出てきます。
実は、この「書けない所」が大切です。
これまであまり考えてこなかった部分かもしれないからです。
全部をきれいに埋めることより、空欄を見つけることにも意味があります。
3.お店のことを人に説明しやすくなる
スタッフやWeb制作者などに相談するときも、店の全体像が1枚になっていると話がしやすくなります。
頭の中だけで考えていた「うちの店らしさ」を共有するためにも使えます。
書き始める前に準備するもの
A4かA3の紙を1枚用意します。
できれば付箋も用意してください。
最初から完成版を作ろうとせず、
「まず30分で1枚作ってみる」
くらいがおすすめです。
1つの項目に書く内容も、3〜5個程度で十分です。
個人店のビジネスモデルキャンバスの書き方
ここからは「スタッフ2人の地域密着型美容室」を例に考えてみます。
① 顧客セグメント|誰に来てほしいか
最初の問いは、
「いちばん来てほしい人は、どんな人?」です。
「地域に住んでいる人」だけでは、少し広すぎます。
年齢だけでなく、どんなことに困っているのかまで考えてみます。
たとえば、
「30〜40代で子育て中。美容室へ行く時間を取りにくい人」
「白髪が気になってきたけれど、派手なカラーにはしたくない人」
などです。
ここで顧客を決めるのは、ほかのお客様を断るためではありません。
「まず誰に一番伝わる店にするか」を決めるためです。
② 価値提案|その人に何を渡しているか
次は、
「その人は、なぜ大型チェーンではなく、うちのお店を選ぶのか?」
と考えます。
商品名ではなく、お客様にとっての良いことを書きます。
たとえば、
「短時間でも手入れしやすい髪型になる」
「子ども連れでも気兼ねなく来店できる」
「毎回同じ人が担当してくれる」
などです。
ここはビジネスモデルキャンバスの中でも重要な部分です。
③ チャネル|どうやって出会うか
次は、
「お客様はどこでお店を知り、どう予約している?」
と考えます。
Instagram、Google検索、予約サイト、口コミ、ホームページなどを書き出します。
予約方法も、LINE、電話、予約フォームなどがあります。
重要なのは数ではありません。
①で決めた人に、②の価値を届けられる入口になっているかを確認します。
④ 顧客との関係|どう付き合っているか
「来店前・来店中・来店後に、お客様とどう関わっている?」
と考えます。
美容室なら、
次回予約の案内、お礼のLINE、カウンセリング、前回の会話や施術内容を覚えていることなども含まれます。
新しいお客様を集めることだけがマーケティングではありません。
今来てくれている人とどう関係を続けるかも、お店の仕組みの一部です。
⑤ 収益の流れ|何から売上が入るか
「何に対してお客様がお金を払っているか」を書きます。
美容室なら、
カット、カラー、トリートメント、ホームケア用品などです。
実際の売上も確認すると、
「メニューは多いけれど、売上の中心はこの2つ」
といったことが見えてきます。
⑥ リソース|すでに持っているもの
リソースとは、価値を提供するために持っているものです。
人、技術、場所、設備だけではありません。
たとえば、
長年の経験、駐車場、キッズスペース、地域での知名度、常連のお客様との信頼関係。
こうしたものも立派なリソースです。
小さなお店の強みは、この中に隠れていることがあります。
⑦ 主要活動|価値を作るために欠かせない仕事
「②の価値を提供するために、絶対に外せない仕事は何か?」
と考えます。
施術だけでなく、
丁寧なカウンセリング、予約管理、LINEへの返信なども含まれるでしょう。
反対に、
「ずっと続けているけれど、提供したい価値にはあまりつながっていない仕事」
が見つかることもあります。
それは、減らせる仕事かもしれません。
⑧ パートナー|誰の力を借りているか
材料の卸会社、予約サービス、税理士、近所のお店など、事業を支えてくれている相手を書きます。
個人店の場合、地域のつながりも大切なパートナーになることがあります。
⑨ コスト構造|何にお金がかかっているか
最後に、
「毎月、何に大きなお金を使っているか?」
を整理します。
家賃、材料費、人件費、広告費、予約サイトの手数料などです。
単純に「削れるか」だけを見るのではなく、
「この支出は、②で決めた価値を提供するために必要か?」
という視点でも確認してみます。
完成したら3つのつながりを確認する
9つを書いたら、一度紙全体を眺めます。
まず確認したいのは「顧客と価値」です。
来てほしい人が、本当にその価値を求めているでしょうか。
次に「価値と店の中」です。
お客様に約束している価値を、今の人員や設備、仕事の仕組みで提供できているでしょうか。
最後に「収益とコスト」です。
提供している価値と、それによって得られる売上、必要なコストが合っているかを確認します。
そして、うまく書けなかった所には印をつけておきます。
その空欄が、次に考えるテーマです。
ビジネスモデルキャンバスをHP改善に使う方法
ここからは、Web制作の視点でもう一歩進めてみます。
ビジネスモデルキャンバスを作ると、ホームページに何を書くべきかも整理しやすくなります。
顧客セグメント→「誰に向けたHPなのか」
ホームページを見た人が、
「これは自分のためのお店だ」
と思えるかを確認します。
誰にでも当てはまる文章だけになっているなら、顧客セグメントをもう一度見直してみます。
価値提案→ファーストビューやサービス紹介
「高い技術」「丁寧な接客」だけではなく、
その結果、お客様にどんな良いことがあるのかを伝えます。
ここはファーストビューやサービス紹介の中心になります。
チャネル→Instagram・Google・LINEとの導線
InstagramからHP。
Google検索からHP。
HPからLINE予約。
それぞれがつながっているかを確認します。
集客手段を増やすことより、今ある入口から予約まで迷わず進めることが大切です。
顧客との関係→予約・問い合わせの設計
初めて来店する人には不安があります。
料金、施術内容、スタッフ、店内、予約方法など、来店前に知りたい情報をHPで確認できるようにします。
つまり、ビジネスモデルキャンバスは事業を整理するだけではなく、
「誰に、何を、どう伝えるホームページにするか」
を考える土台にもなります。
よくある失敗
ひとつ目は、きれいに完成させようとすることです。
最初は仮説で構いません。
ふたつ目は、書いて終わることです。
実際のお客様の反応や売上を見ながら、内容は変えていきます。
そしてもうひとつが、大企業の事例をそのまま自分の店に当てはめることです。
個人店には、個人店なりの人・場所・関係性があります。
自分のお店の言葉で書くことを優先してください。
まとめ|まずは「顧客」と「価値」から書いてみる
ビジネスモデルキャンバスは、難しい経営資料を作るためのものではありません。
個人店なら、
「自分のお店は、誰に、どんな価値を届けているのか」
を見直すところから始めれば十分です。
まず紙を1枚用意して、
「いちばん来てほしい人は誰か」
「その人は、なぜうちを選ぶのか」
この2つを書いてみてください。
そこから残りの7つをつなげていくと、今やるべきことが少しずつ見えてきます。
そして、整理してみたけれど「自分のお店の強みをどう言葉にすればいいか分からない」「ホームページにどう反映すればいいか分からない」という場合は、第三者と一緒に整理する方法もあります。
08col.では、個人店・小規模事業者の強みや顧客を整理しながら、それをWebサイトの構成や言葉、導線へ落とし込むお手伝いをしています。
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